sugao2004-11-05

ただいま第28回サンパウロ国際映画祭が行われている。66ヶ国から268の映画が来ているそうな。日本映画からは『誰も知らない(是枝裕和監督)』が紹介されているが、評判は高く一度目はチケットが売り切れていて入れなかった。2度目の挑戦で昨晩観に行った。
2時間の映画が終わり会場が明るくなった。締め付けられるような思いで観続けた僕の心は疲れ沈んでいた。聴衆から拍手が起こりその時多くのブラジル男女が静かに涙を流しているのに気づいた。
あれだけ小さな世界を描き大きな世界を感じさせ、私たちの心に大きな衝撃と普遍的メッセージを残した映画というのはすごいと思う。
一般にブラジルにおいて日本人、日系人の信用は高い(今の日本人は知らない)。われらのご先祖は偉い人が多かったんだなあと素直に思う。誠実・勤勉・感謝の3つを日本人の特徴に挙げる人も多い。
さて逆に批判される時は?『日本人はFrioだ(冷たい)』といわれる。ラテン系とアジア系の愛情表現が大きく異なることはいたしかたないとして、もう少し突っ込んでいえば日本人は非常に個人主義だといえると思う。もう少しきつい言い方をすれば“自分のことしか考えてない”ということだ。
この度の『誰も知らない』はブラジル人にいかに映ったか?“狂った母親”で片付ける人もあろうが、どこか現代の日本を象徴していないか?
この映画はまさに現代の日本が“世界”に向けて発する“行き着いてしまった世界からのメッセージ”というものを含んでいると思う。